Fedora への Docker Engine インストール

Fedora 上での Docker Engine を使い始めるにあたっては、 前提条件 を満たしていることを確認した上で、以下の インストール手順 に従ってください。

前提条件

OS 要件

Docker Engine をインストールするには、以下に示す Fedora バージョンのいずれかであることが必要です。

  • Fedora 40
  • Fedora 41

旧バージョンのアンインストール

Docker Engine をインストールするにあたっては、衝突しそうなパッケージをすべてアンインストールする必要があります。

この Linux ディストリビューションでは Docker の非公式パッケージが提供されているかもしれません。 これは Docker が提供する公式パッケージとの間で衝突を引き起こします。 したがって Docker Engine の公式バージョンをインストールするには、そういったパッケージはあらかじめアンインストールしておく必要があります。

$ sudo dnf remove docker \
                  docker-client \
                  docker-client-latest \
                  docker-common \
                  docker-latest \
                  docker-latest-logrotate \
                  docker-logrotate \
                  docker-selinux \
                  docker-engine-selinux \
                  docker-engine

dnf はインストールされていないパッケージがあれば、その旨を表示するかもしれません。

イメージ、コンテナー、ボリューム、ネットワークの各情報は /var/lib/docker/ に保存されますが、これらは Docker をアンインストールしても自動的には削除されません。

インストール方法

Docker Engine のインストール方法はいくつかあるので、必要に応じて選んでください。

  • Docker リポジトリの設定 を行ってインストールを行います。 インストールやアップグレードの作業は簡単に行うことができます。 これが推奨される方法です。

  • RPM パッケージとしてダウンロードすることができるので、 手動でのインストール が可能です。 手動によりアップグレード管理も十分に行うことができます。 この方法はインターネットにアクセスできないオフライン環境において Docker をインストールする場合などに利用できます。

  • テスト環境や開発環境向けであれば、Docker インストールを自動化している 便利スクリプト を利用することができます。

rpm リポジトリを利用したインストール

Docker Engine を初めてマシン上にインストールするには、Docker リポジトリの設定があらかじめ必要です。 これを行った後に、そのリポジトリから Docker のインストールやアップグレードを行います。

リポジトリの設定

dnf-plugins-core パッケージ (DNF リポジトリ管理を行うコマンドを提供) をインストールし、リポジトリ設定を行います。

$ sudo dnf -y install dnf-plugins-core
$ sudo dnf-3 config-manager --add-repo https://download.docker.com/linux/fedora/docker-ce.repo

Docker Engine のインストール

  1. Docker パッケージをインストールします。


    最新バージョンをインストールするには以下を実行します。

    $ sudo dnf install docker-ce docker-ce-cli containerd.io docker-buildx-plugin docker-compose-plugin
    

    GPG 鍵の受け入れを問うプロンプトが表示されたら、そのフィンガープリントが 060A 61C5 1B55 8A7F 742B 77AA C52F EB6B 621E 9F35 であるかどうか確認し、正しければ受け入れます。

    これによって Docker がインストールされますが、まだ Docker は起動していません。 この際には docker グループが生成されます。 デフォルトではこのグループにユーザーは一人も属していません。

    特定バージョンをインストールするには、まずリポジトリ内の利用可能なバージョンを一覧表示します。

    $ dnf list docker-ce --showduplicates | sort -r
    
    docker-ce.x86_64    3:27.4.0-1.fc41    docker-ce-stable
    docker-ce.x86_64    3:27.3.1-1.fc41    docker-ce-stable
    <...>
    

    表示される一覧は、どのリポジトリを有効にしているかによって変わります。 そして Fedora の対象バージョンを示しています (この例では .fc40 というサフィックスにより示されます)。

    目的のバージョンを完全なパッケージ文字列を指定してインストールします。 完全な文字列とは、まずパッケージ名 (docker-ce) があり、次にハイフン (-) で区切って (2 カラムめに) バージョン文字列が続きます。 この例では docker-ce-3:27.4.0-1.fc41 といったものです。

    <VERSION_STRING> の部分は目的とするバージョン文字列に置き換えた上で、以下のコマンドを実行してインストールします。

    $ sudo dnf install docker-ce-<VERSION_STRING> docker-ce-cli-<VERSION_STRING> containerd.io docker-buildx-plugin docker-compose-plugin
    

    これによって Docker がインストールされますが、まだ Docker は起動していません。 この際には docker グループが生成されます。 デフォルトではこのグループにユーザーは一人も属していません。


  2. Docker Engine を起動します。

    $ sudo systemctl enable --now docker
    

    これによって Docker の systemd サービスがシステム起動時に自動的に実行されるようになります。 Docker を自動起動させたくない場合は、ここではその代わりに sudo systemctl start docker を実行してください。

  3. インストールが成功したことを確認するために hello-world イメージを実行します。

    $ sudo docker run hello-world
    

    このコマンドを実行すると、テストイメージがダウンロードされてコンテナーとして実行します。 コンテナーが実行されると、確認メッセージが表示されて終了します。

Docker Engine のインストールと起動が正常に行われました。

情報

非 root ユーザーでの実行時にエラーが発生したら?

ユーザーグループ docker は存在していてもユーザーが一切含まれていない状態の場合、Docker コマンドの実行にあたっては sudo の利用を求められることになります。 Linux インストール後の作業 を確認して、Docker コマンドやその他の設定作業を非特権ユーザーにも許可する手順を進めてください。

Docker Engine のアップグレード

Docker Engine をアップグレードする場合は インストール作業 に従います。 そこではインストールしたい新バージョンを選びます。

パッケージからのインストール

Docker Engine のインストールにあたって Docker の rpm リポジトリを利用したくない場合は、対象となるリリースの .rpm ファイルをダウンロードして手動でインストールします。 Docker Engine のアップグレード時には、その都度、新しいファイルをダウンロードしてくることになります。

  1. https://download.docker.com/linux/fedora/ にアクセスして、利用している Fedora のバージョンを選びます。 そして x86_64/stable/Packages/ を開いて、インストールしたい Docker バージョンの .rpm ファイルをダウンロードします。

  2. Docker Engine をインストールします。 以下におけるパス部分は、Docker パッケージをダウンロードしたパスに置き換えてください。

    $ sudo dnf install /path/to/package.rpm
    

    Docker がインストールされますが、まだ起動はしていません。 この際には docker グループが生成されます。 デフォルトではこのグループにユーザーは一人も属していません。

  3. Docker Engine を起動します。

    $ sudo systemctl enable --now docker
    

    これによって Docker の systemd サービスがシステム起動時に自動的に実行されるようになります。 Docker を自動起動させたくない場合は、ここではその代わりに sudo systemctl start docker を実行してください。

  4. インストールが成功したことを確認するために hello-world イメージを実行します。

    $ sudo docker run hello-world
    

    このコマンドを実行すると、テストイメージがダウンロードされてコンテナーとして実行します。 コンテナーが実行されると、確認メッセージが表示されて終了します。

Docker Engine のインストールと起動が正常に行われました。

情報

非 root ユーザーでの実行時にエラーが発生したら?

ユーザーグループ docker は存在していてもユーザーが一切含まれていない状態の場合、Docker コマンドの実行にあたっては sudo の利用を求められることになります。 Linux インストール後の作業 を確認して、Docker コマンドやその他の設定作業を非特権ユーザーにも許可する手順を進めてください。

Docker Engine のアップグレード

Docker Engine をアップグレードするには、より最新のパッケージファイルをダウンロードして インストール手順 を再度行います。 その際には dnf install ではなく dnf upgrade を用いて新たなファイルを指定します。

便利スクリプトを使ったインストール

Docker では https://get.docker.com/ において便利なスクリプトを提供しています。 これは Docker を開発マシンに対話形式をとらずにすばやくインストールするものです。 このスクリプトを本番環境において利用することはお勧めしませんが、環境に適したプロビジョニングを行うサンプルとして活用することはできます。 また リポジトリを利用したインストール における作業手順に従うことで、パッケージリポジトリを利用したインストール手順を身につけることができます。 このスクリプトのソースコードはオープンソースであり、 GitHub 条の docker-install リポジトリ から入手可能です。

インターネットからスクリプトをダウンロードしたら、まず内容を十分確認してからローカル実行してください。 インストールにあたっては、この便利スクリプトの潜在的リスクや制限について、よく理解してください。

  • スクリプトを実行するには root 権限か sudo が必要です。
  • スクリプトは自動的に情報取得を行い、利用している Linux ディストリビューション、そのバージョン、そしてパッケージ管理システムの設定を行います。
  • このスクリプトは、インストール時にパラメーターを受け渡すような設定はできないものになっています。
  • スクリプトは依存パッケージや推奨パッケージをすべてインストールします。 その際にはインストールして良いかどうかを問いません。 したがって相当数のパッケージがインストールされることもあります。 これはホストマシンのその時点での設定によります。
  • このスクリプトはデフォルトでは、最新版の Docker、containerd、runc をインストールします。 このスクリプトを使ってマシンをプロビジョニングした場合、Docker のメジャーバージョンへのアップグレードにより、予期しない結果を引き起こすことがあります。 本番環境へのデプロイを行う際には、必ず (メジャーバージョンへの) アップグレードをテスト環境においてテストしておいてください。
  • このスクリプトは、既にインストールされている Docker をアップグレードするように設計されていません。 このスクリプトを利用して既存インストールをアップデートする際には、依存パッケージが思いどおりにアップデートされない場合があります。 それによって古いバージョンのまま利用する状況となる場合があります。

情報

スクリプト実行前にインストールステップを確認します。 本スクリプトの実行にあたって --dry-run オプションを指定すると、このスクリプトのインストールステップを確認することができます。

$ curl -fsSL https://get.docker.com -o get-docker.sh
$ sudo sh ./get-docker.sh --dry-run

以下は、このスクリプトを https://get.docker.com/ からダウンロードして実行することで、Linux 上に最新安定版をインストールする例です。

$ curl -fsSL https://get.docker.com -o get-docker.sh
$ sudo sh get-docker.sh
Executing docker install script, commit: 7cae5f8b0decc17d6571f9f52eb840fbc13b2737
<...>

Docker が正常にインストールされます。 Debian ベースのディストリビューションでは docker サービスが自動的に開始されます。 CentOS、Fedora、RHEL、SLES といった RPM ベースの場合は手動での実行が必要となるため、systemctlservice のいずれか適当なものを実行します。 上の出力メッセージに示されているように、デフォルトでは非 root ユーザーによる Docker コマンド実行はできません。

非特権ユーザーでの Docker 利用、rootless モードでのインストール?

このインストールスクリプトでは、Docker をインストールして利用するために root あるいは sudo を用いた権限が必要です。 非 root ユーザーに Docker の利用を許可する場合は、 Linux インストール後の作業 を参照してください。 Docker は root 権限がなくてもインストールできます。 つまり rootless モードにより実行することができます。 rootless モードにより Docker を実行する手順については root ユーザー以外による Docker デーモン起動(rootless モード) を参照してください。

プレリリース版のインストール

Docker ではこの便利スクリプトを https://test.docker.com/ からも提供しています。 これを使って Linux 上にプレリリース版の Docker をインストールできます。 このスクリプトは get.docker.com から入手するものと同等であり、パッケージマネージャーを使って Docker パッケージリポジトリのテストチャネルが利用できるように設定されています。 テストチャネルには Docker の安定版とプレリリース版 (ベータ版、リリース候補版) の双方が含まれています。 このスクリプトを利用すれば、新規リリース向けの早期アクセスが利用できます。 これにより安定版として提供されるよりも前に、テスト環境においてそれらを評価することができます。

Linux への Docker 最新版のインストールをテストチャネルから行うには、以下を実行します。

$ curl -fsSL https://test.docker.com -o test-docker.sh
$ sudo sh test-docker.sh

便利スクリプトを使った後の Docker のアップグレード

便利スクリプトを使って Docker をインストールした場合、Docker のアップグレードはパッケージマネージャーを直接使って行ってください。 便利スクリプトは再実行する意味はありません。 ホストマシンにリポジトリが追加されているところに、このスクリプトを再実行したとすると、そのリポジトリを再度追加してしまうため、問題になることがあります。

Docker Engine のアンインストール

  1. Docker Engine, CLI、containerd、Docker Compose パッケージをアンインストールするには以下を行います。

    $ sudo dnf remove docker-ce docker-ce-cli containerd.io docker-buildx-plugin docker-compose-plugin docker-ce-rootless-extras
    
  2. イメージ、コンテナー、ボリューム、独自の設定ファイルは自動的には削除されません。 イメージ、コンテナー、ボリュームを削除するには以下を行います。

    $ sudo rm -rf /var/lib/docker
    $ sudo rm -rf /var/lib/containerd
    

独自に編集した設定ファイルは手動で削除する必要があります。

次のステップ