docker stats
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説明
コンテナーのリソース利用統計について、動的なストリーム出力を行います。
利用方法
$ docker stats [オプション] [CONTAINER...]
追加説明
docker stats
コマンドは、実行中コンテナーに対する動的なストリームデータを返します。
このデータを特定のコンテナーのみに限定する場合は、コンテナー名またはコンテナー ID を空白で区切って指定します。
停止しているコンテナーを指定することもできますが、停止コンテナーからは何の情報も返されません。
コンテナーのリソース利用状況に関する詳細については API エンドポイント/containers/(id)/stats
を利用してください。
メモ
Linux 上の Docker CLI が表示するメモリ使用量は、全メモリ使用量からキャッシュ使用量を差し引いたものです。 API ではそういった計算は行いませんが、クライアントが必要に応じてデータ利用できるように、全メモリ使用量とキャッシュ量は示します。 キャッシュ使用量は cgroup v1 ホスト上の
memory.stat
ファイル内においてtotal_inactive_file
項目の値として定義されます。Docker 19.03 またはそれ以前においてキャッシュ使用量は
cache
項目の値として定義されていました。 cgroup v2 ホストにおいてキャッシュ使用量はinactive_file
項目の値として定義されます。
メモ
PIDS
の欄には、そのコンテナーによって生成されたプロセスやカーネルスレッドの数が示されます。 スレッドとは Linux カーネルにおける用語です。 これと同じ用語として「軽量プロセス」(lightweight process)、「カーネルタスク」(kernel task)などと表現されます。PIDS
欄に非常に大きな数値が示されていたら、それはほんのわずかのプロセス数(ps
やtop
によって表示されるもの)に加えて、コンテナーから生成される非常に多くのスレッドが含まれているものと考えられます。
本コマンドの利用例については、以下に示す 利用例の節 を参照してください。
オプション
名前/省略形 | デフォルト | 説明 |
--all , -a |
コンテナーすべてを表示します。(デフォルトは実行中コンテナーのみ。) | |
--format |
Go 言語テンプレートを使って出力をフォーマットします。 | |
--no-stream |
統計情報の自動表示を無効にし、取得された最初の値のみを表示します。 | |
--no-trunc |
詳細出力を行います。 |
利用例
以下では Linux デーモンに向けて、実行中のコンテナーすべてに対するdocker stats
を実行します。
$ docker stats
CONTAINER ID NAME CPU % MEM USAGE / LIMIT MEM % NET I/O BLOCK I/O PIDS
b95a83497c91 awesome_brattain 0.28% 5.629MiB / 1.952GiB 0.28% 916B / 0B 147kB / 0B 9
67b2525d8ad1 foobar 0.00% 1.727MiB / 1.952GiB 0.09% 2.48kB / 0B 4.11MB / 0B 2
e5c383697914 test-1951.1.kay7x1lh1twk9c0oig50sd5tr 0.00% 196KiB / 1.952GiB 0.01% 71.2kB / 0B 770kB / 0B 1
4bda148efbc0 random.1.vnc8on831idyr42slu578u3cr 0.00% 1.672MiB / 1.952GiB 0.08% 110kB / 0B 578kB / 0B 2
--format
を利用して書式を変更する ということを行っていないなら、各列は以下のように表示されます。
カラム名 | 内容説明 |
---|---|
CONTAINER ID とName |
コンテナー名とコンテナー ID |
CPU % とMEM % |
コンテナーが利用するホスト上の CPU およびメモリの使用割合。 |
MEM USAGE / LIMIT |
コンテナーが利用しているメモリ総量と、コンテナーが利用可能なメモリ総量。 |
NET I/O |
ネットワークインターフェースを通じて、コンテナーが送受信したデータ総量。 |
BLOCK I/O |
ホスト上のブロックデバイスから、コンテナーが読み書きしたデータ総量。 |
PIDs |
コンテナーが生成したプロセス数またはスレッド数。 |
Linux デーモンに向けて、コンテナー名とコンテナー ID を複数指定してdocker stats
を実行します。
$ docker stats awesome_brattain 67b2525d8ad1
CONTAINER ID NAME CPU % MEM USAGE / LIMIT MEM % NET I/O BLOCK I/O PIDS
b95a83497c91 awesome_brattain 0.28% 5.629MiB / 1.952GiB 0.28% 916B / 0B 147kB / 0B 9
67b2525d8ad1 foobar 0.00% 1.727MiB / 1.952GiB 0.09% 2.48kB / 0B 4.11MB / 0B 2
Running docker stats
on container with name nginx and getting output in json
format.
$ docker stats nginx --no-stream --format "{{ json . }}"
{"BlockIO":"0B / 13.3kB","CPUPerc":"0.03%","Container":"nginx","ID":"ed37317fbf42","MemPerc":"0.24%","MemUsage":"2.352MiB / 982.5MiB","Name":"nginx","NetIO":"539kB / 606kB","PIDs":"2"}
出力をカスタマイズして、(実行中と停止を含む)すべてのコンテナーに対してdocker stats
を実行します。
$ docker stats --all --format "table {{.Container}}\t{{.CPUPerc}}\t{{.MemUsage}}" fervent_panini 5acfcb1b4fd1 drunk_visvesvaraya big_heisenberg
CONTAINER CPU % MEM USAGE / LIMIT
fervent_panini 0.00% 56KiB / 15.57GiB
5acfcb1b4fd1 0.07% 32.86MiB / 15.57GiB
drunk_visvesvaraya 0.00% 0B / 0B
big_heisenberg 0.00% 0B / 0B
上の例においてdrunk_visvesvaraya
とbig_heisenberg
は停止コンテナーです。
Windows デーモンに向けて、実行中のコンテナーすべてに対するdocker stats
を実行します。
PS E:\> docker stats
CONTAINER ID CPU % PRIV WORKING SET NET I/O BLOCK I/O
09d3bb5b1604 6.61% 38.21 MiB 17.1 kB / 7.73 kB 10.7 MB / 3.57 MB
9db7aa4d986d 9.19% 38.26 MiB 15.2 kB / 7.65 kB 10.6 MB / 3.3 MB
3f214c61ad1d 0.00% 28.64 MiB 64 kB / 6.84 kB 4.42 MB / 6.93 MB
Windows デーモンに向けて、コンテナー名とコンテナー ID を複数指定してdocker stats
を実行します。
PS E:\> docker ps -a
CONTAINER ID NAME IMAGE COMMAND CREATED STATUS PORTS NAMES
3f214c61ad1d awesome_brattain nanoserver "cmd" 2 minutes ago Up 2 minutes big_minsky
9db7aa4d986d mad_wilson windowsservercore "cmd" 2 minutes ago Up 2 minutes mad_wilson
09d3bb5b1604 fervent_panini windowsservercore "cmd" 2 minutes ago Up 2 minutes affectionate_easley
PS E:\> docker stats 3f214c61ad1d mad_wilson
CONTAINER ID NAME CPU % PRIV WORKING SET NET I/O BLOCK I/O
3f214c61ad1d awesome_brattain 0.00% 46.25 MiB 76.3 kB / 7.92 kB 10.3 MB / 14.7 MB
9db7aa4d986d mad_wilson 9.59% 40.09 MiB 27.6 kB / 8.81 kB 17 MB / 20.1 MB
フォーマット設定
フォーマット設定オプション(--format
)により Go 言語のテンプレートを利用して、コンテナーをわかりやすく出力することができます。
Go 言語テンプレートによるプレースホルダー(placeholder)は以下のとおりです。
プレースホルダー | 内容説明 |
---|---|
.Container |
コンテナー名とコンテナーID(ユーザー入力) |
.Name |
コンテナー名 |
.ID |
コンテナー ID |
.CPUPerc |
CPU 使用割合 |
.MemUsage |
メモリ使用量 |
.NetIO |
ネットワーク I/O |
.BlockIO |
ブロック I/O |
.MemPerc |
メモリ使用割合(Windows では利用不可) |
.PIDs |
PID 数(Windows では利用不可) |
--format
オプションを利用するとstats
コマンドは、テンプレートが定めるデータを直接出力します。
またtable
ディレクティブを利用すると、カラムヘッダーも同時に出力されます。
以下は、ヘッダーを含めずにテンプレートを利用する例であり、すべてのイメージにおけるContainer
、CPUPerc
の各項目がコロン(:
)で区切って表示されます。
$ docker stats --format "{{.Container}}: {{.CPUPerc}}"
09d3bb5b1604: 6.61%
9db7aa4d986d: 9.19%
3f214c61ad1d: 0.00%
コンテナーの統計情報一覧を、その名前、CPU 使用率、メモリ使用量とともに表形式で出力するには、以下のようにします。
$ docker stats --format "table {{.Container}}\t{{.CPUPerc}}\t{{.MemUsage}}"
CONTAINER CPU % PRIV WORKING SET
1285939c1fd3 0.07% 796 KiB / 64 MiB
9c76f7834ae2 0.07% 2.746 MiB / 64 MiB
d1ea048f04e4 0.03% 4.583 MiB / 64 MiB
デフォルト書式は以下のとおりです。
Linux の場合は以下です。
"table {{.ID}}\t{{.Name}}\t{{.CPUPerc}}\t{{.MemUsage}}\t{{.MemPerc}}\t{{.NetIO}}\t{{.BlockIO}}\t{{.PIDs}}"
Windows の場合は以下です。
"table {{.ID}}\t{{.Name}}\t{{.CPUPerc}}\t{{.MemUsage}}\t{{.NetIO}}\t{{.BlockIO}}"
上位コマンド
コマンド | 説明 |
---|---|
docker | Docker CLI の基本コマンド |